天皇てんのう陛下へいかは、誕生たんじょう日びを前まえに、皇居こうきょ・宮殿きゅうでんで記者きしゃ会見かいけんに臨のぞみ、元日がんじつに発生はっせいした能登のと半島はんとう地震じしんについて、「多おおくの方ほうが犠牲ぎせいとなられ、今いまなお安否あんぴが不明ふめいの方ほうがいらっしゃることや、避難ひなんを余儀よぎなくされている方ほうが多おおいことに深ふかく心こころを痛いためております」と述のべられました。

そのうえで、「現地げんちの復旧ふっきゅうの状況じょうきょうを見みつつ、被災ひさい者しゃの皆みなさんのお気持きもちや、被災ひさい自治体じちたいを始はじめとする関係かんけい者しゃの考かんがえを伺うかがいながら、訪問ほうもんできるようになりましたら、雅子まさこと共とともに被災ひさい地ちへのお見舞みまいができればと考かんがえております」と話はなされました。

また、ことし5月つきで即位そくいから5年ねんとなるのを前まえに、これまでの天皇てんのうとしての歩あゆみを振り返ふりかえって、「国民こくみんの皆みなさんの中なかに入はいり、少すこしでも寄り添よりそうことを目指めざして、行いく先々さきざきで多おおくの方々かたがたのお話おはなしを聴きき、皆みなさんの置おかれている状況じょうきょうや気持きもち、皇室こうしつが国民こくみんのために何なにをすべきかなどについて的確てきかくに感じ取かんじとれるように、国民こくみんの皆みなさんと接せっする機会きかいを広ひろく持もつよう心掛こころがけてまいりました。これからも雅子まさこと相談そうだんしつつ、このことを心掛こころがけながら各地かくちを訪問ほうもんしてまいりたいと思おもいます」と語かたられました。

さらに、日本にっぽん赤十字せきじゅうじ社しゃへの就職しゅうしょくが内定ないていしている長女ちょうじょの愛子あいこさまについて、「人ひとのために何なにかできればという思おもいを以前いぜんから持もっていたように思おもいます。皇族こうぞくとしての仕事しごとも増ふえてくると思おもいますが、今後こんごも、思おもいやりと感謝かんしゃの気持きもちを持もちながら、皇室こうしつの一員いちいんとして一ひとつ一ひとつの務つとめを大切たいせつに果はたしていってもらいたいと思おもいます」と述のべられました。

そして、ことし9月つきに成年せいねんとなられる秋篠宮あきしののみやご夫妻ふさいの長男ちょうなんの悠ゆう仁ひとしさまについて、「小ちいさい時ときから甥おいとして成長せいちょうを見守みまもってまいりましたが、近頃ちかごろは、地方ちほうや都内とないへの訪問ほうもんであったり、外国がいこくの方々かたがたとの交流こうりゅうであったり、少すこしずつ、皇室こうしつの一員いちいんとしての務つとめを果はたしてくれていることを頼たのもしく思おもっています」と話はなされました。

皇居こうきょでは、23日にちに天皇てんのう誕生たんじょう日びの一般いっぱん参賀さんがが行おこなわれ、天皇てんのう陛下へいかは、皇后こうごうさまや秋篠宮あきしののみやご夫妻ふさい、愛子あいこさま、佳子けいこさまとともに、午前ごぜん中ちゅうに3回かい、宮殿きゅうでんのベランダに立たって、お祝おいわいを受うけられます。

御所ごしょで撮影さつえい 天皇てんのう皇后こうごう両りょう陛下へいかの映像えいぞう公開こうかい

天皇てんのう陛下へいかの誕生たんじょう日びにあたり、宮内庁くないちょうは、2月つき9日にちにお住すまいの御所ごしょで撮影さつえいした天皇てんのう皇后こうごう両りょう陛下へいかの映像えいぞうを公開こうかいしました。

この中なかで両りょう陛下へいかは、ことしの歌会かかい始はじめでも使つかわれた輪島塗わじまぬりの御ご懐紙かいし箱ばこをご覧ごらんになっています。

また、お二に人にんのそばには、輪島塗わじまぬりの飾かざり盆ぼんと、珠洲すず焼しょうのつぼが飾かざられています。

側近そっきんによりますと、両りょう陛下へいかは、地震じしんによって被災ひさい地ちの産業さんぎょうが大おおきな被害ひがいを受うけ、能登のと地域ちいきの伝統でんとう文化ぶんかや産業さんぎょうに携たずさわる多おおくの人ひとが困難こんなんな状況じょうきょうにあることを心配しんぱいされているということです。

撮影さつえいの際さい、両りょう陛下へいかは、輪島わじま市しの「朝市あさいち通どおり」を訪おとずれた際さいの思い出おもいでや、輪島塗わじまぬりの制作せいさくには多おおくの職人しょくにんが関かかわっていることなどを話はなされていたということです。

宮内庁くないちょうは、3月つき下旬げじゅんの両りょう陛下へいかの石川いしかわ県けんの被災ひさい地ち訪問ほうもんに向むけ調整ちょうせいを進すすめています。

天皇てんのう陛下へいか 記者きしゃ会見かいけん全文ぜんぶん

天皇てんのう陛下へいかの記者きしゃ会見かいけんの全文ぜんぶんです。

（宮内くない記者きしゃ会かい代表だいひょう質問しつもん）

（問とい1）

この1年ねん、明あかるい話題わだいがあった一方いっぽう、新年しんねんには能登のと半島はんとう地震じしんが発生はっせいし、多おおくの方ほうが亡なくなり、避難ひなん生活せいかつを余儀よぎなくされています。この1年ねんを振り返ふりかえって、印象いんしょうに残のこる出来事できごとをお聞きかせください。

（天皇てんのう陛下へいか）

年明としあけから間まもない今年ことしの元日がんじつの夕方ゆうがたに発生はっせいした能登のと半島はんとう地震じしんは、お正月おしょうがつに家族かぞくで集あつまっていた多おおくの家庭かていを襲おそい、大勢たいせいの方ほうが亡なくなり、また、けがをされたり、住すまいを無なくされたりしました。

今回こんかいの地震じしんに見舞みまわれた能登のと地域ちいきは、雅子まさこも私わたしも、それぞれ学生がくせい時代じだいに訪おとずれて、思い出深おもいでぶかく思おもってきた地域ちいきであるとともに、昨年さくねん10月つきに、二に人にんで揃そろって金沢かなざわ市しを訪問ほうもんし、県民けんみんの皆みなさんに温あたたかく迎むかえていただいたことが特とくに心こころに残のこっており、その石川いしかわ県けんにおいて、多おおくの方ほうが犠牲ぎせいとなられ、今いまなお安否あんぴが不明ふめいの方ほうがいらっしゃることや、避難ひなんを余儀よぎなくされている方ほうが多おおいことに深ふかく心こころを痛いためております。

亡なくなられた方々かたがたに心こころから哀悼あいとうの意いを表あらわしますとともに、御ご遺族いぞくと被災ひさいされた方々かたがたに心こころからお見舞みまいをお伝おつたえいたします。

冬ふゆの寒さむさが続つづく中なか、また特とくに地震じしん発生はっせいから暫しばらくの間まは殊ことの外そと厳きびしい環境かんきょうの中なかで、多おおくの被災ひさい者しゃの方ほうが避難ひなん所しょでの生活せいかつを続つづけてこられており、長期ちょうき化かする避難ひなん生活せいかつにおいて、高齢こうれいの方々かたがたなどの病気びょうきが悪化あっかしたり体調たいちょうを崩くずされたりすることが案あんじられます。

今回こんかいの地震じしんでは、半島はんとう地域ちいきにおいて道路どうろ網もうが寸断すんだんしたため、救出きゅうしゅつ・救助きゅうじょ活動かつどうが難むずかしくなっており、孤立こりつ集落しゅうらくが発生はっせいしたりしました。

水道すいどう施設しせつの復旧ふっきゅうが難むずかしく、断水だんすいが長期ちょうきにわたっており、非常ひじょうに不便ふべんな生活せいかつを強しいられている方ほうも大勢たいせいおられます。

このように厳きびしい状況じょうきょうの中なかで、救出きゅうしゅつ・救助きゅうじょ活動かつどうや、救援きゅうえん物資ぶっしの提供ていきょう、被災ひさい者しゃの医療いりょう・健康けんこう支援しえん、ライフラインの復旧ふっきゅうなどに日夜にちや懸命けんめいに取り組とりくんでおられる皆みなさんに、改あらためて心こころからの感謝かんしゃをお伝おつたえしたいと思おもいます。

また、発はつ災わざわい直後ちょくごから数すう多おおくの専門せんもんボランティアやNPOが被災ひさい地ちで活動かつどうを開始かいしし、被災ひさいされた方々かたがたの様々さまざまな支援しえんに当あたっています。

きめ細きめこまかい支援しえんの大切たいせつさを感かんじるとともに、被災ひさい地ちにおいて、これらボランティアやNPOの活動かつどうをされている方々かたがたの尽力じんりょくも大変たいへん有り難ありがたく思おもいます。

様々さまざまな困難こんなんな状況じょうきょうが続つづいていますが、今後こんご、多おおくの人々ひとびとからの支援しえんを得えて、復旧ふっきゅう・復興ふっこうが順調じゅんちょうに進すすんでいくことを心こころから願ねがっています。

今回こんかいの地震じしんにより、能登のと地域ちいき独自どくじの伝統でんとう的てきな文化ぶんかや産業さんぎょうも大おおきな被害ひがいを受うけました。

地域ちいきの歴史れきし文化ぶんか・伝統でんとう産業さんぎょうは、そこに住すむ皆みなさんの心こころの拠り所よりどころとなってきた大切たいせつなものだと思おもいます。

伝統でんとう技術ぎじゅつを受け継うけつぐ若わかい人々ひとびとの力ちからも得えながら、長ながく受け継うけつがれてきた伝統でんとう文化ぶんかを守まもり、継承けいしょうしていくための支援しえんも大切たいせつであると思おもいます。

被災ひさい地ちにお見舞みまいに伺うかがうことについては、私わたしとしては、現地げんちの復旧ふっきゅうの状況じょうきょうを見みつつ、被災ひさい者しゃの皆みなさんのお気持きもちや、被災ひさい自治体じちたいを始はじめとする関係かんけい者しゃの考かんがえを伺うかがいながら、訪問ほうもんできるようになりましたら、雅子まさこと共とともに被災ひさい地ちへのお見舞みまいができればと考かんがえております。

国内こくない全体ぜんたいに目めを転てんじると、自然しぜん災害さいがいや物価ぶっか高だかなどにより、多おおくの人々ひとびとが様々さまざまな困難こんなんを抱かかえながら生活せいかつしており、支援しえんを必要ひつようとしているお年寄としよりや障害しょうがいのある方かた、生活せいかつに困窮こんきゅうしている方ほうや生活せいかつ困窮こんきゅう世帯せたいの子こどもたちなど、社会しゃかい的てきに弱よわい立場たちばにある人々ひとびとのことが案あんじられます。

同時どうじに、このような社会しゃかい的てきに弱よわい立場たちばにある人々ひとびとを支ささえ、その命いのちと暮くらしを守まもるために力ちからを尽つくされている方ほうが多おおくいることを有り難ありがたく思おもっています。

大変たいへんなことも多おおい中なかではありますが、人々ひとびとが、これからもお互おたがいを思おもいやりながら支ささえ合あい、困難こんなんな状況じょうきょうを乗り越のりこえていくことができるよう願ねがっております。

地球ちきゅう規模きぼでは、地震じしんや水害すいがいなどの大おおきな自然しぜん災害さいがいが起おきています。

この1年ねんにおいても、モロッコやアフガニスタンにおいて大おおきな地震じしんが発生はっせいし、多おおくの人々ひとびとが亡なくなったり、負傷ふしょうされたり、家いえを失うしない避難ひなん生活せいかつを余儀よぎなくされたりしています。

大雨おおあめによる被害ひがいや山やま火事かじ、深刻しんこくな干かんばつなど、地球ちきゅう温暖おんだん化かに伴ともなうと思おもわれる自然しぜん災害さいがいも世界せかい各地かくちで多発たはつしています。

ここに改あらためて、これら自然しぜん災害さいがいにより犠牲ぎせいになられた方々かたがたの御ご冥福めいふくをお祈おいのりするとともに、被害ひがいに遭あわれた方々かたがたにお見舞みまいをお伝おつたえしたいと思おもいます。

「地球ちきゅう温暖おんだん化か」について、グテーレス国連こくれん事務じむ総長そうちょうは、昨年さくねん7月つき27日にちの会見かいけんで、現在げんざいの状況じょうきょうを「地球ちきゅう温暖おんだん化か」の時代じだいから「地球ちきゅう沸騰ふっとう化か」の時代じだいが来きたと警告けいこくしています。

以前いぜんにも述のべましたように、持続じぞく可能かのうな世界せかいを築きずいていくためには、世界せかいの人々ひとびとが知恵ちえを出し合だしあい、共ともに手てを取り合とりあって協力きょうりょくしていくことが、今いま正まさに求もとめられており、地球ちきゅう温暖おんだん化かの問題もんだいは、今いま私わたしたちが真剣しんけんに取り組とりくまなければならない喫緊きっきんの課題かだいであると思おもいます。

また、世界せかい各地かくちで現在げんざいも戦争せんそうや紛争ふんそうなどが発生はっせいし、多数たすうの人々ひとびとの命いのちが失うしなわれています。

飢餓きがや貧困ひんこん、抑圧よくあつや偏見へんけんなどに苦くるしみ、生命せいめいや尊厳そんげんが脅おびやかされている人々ひとびともいます。

世界せかいが直面ちょくめんするこうした困難こんなんな状況じょうきょうに、深ふかく心こころが痛いたみます。

平和へいわな世界せかいを築きずくために、世界せかいの人々ひとびとがお互おたがいの理解りかいに努つとめ、お互おたがいを尊重そんちょうし、お互おたがいを思おもいやりながら協力きょうりょくしていくことの大切たいせつさを改あらためて感かんじています。

このような中なかでも、この1年ねん、明あかるい話題わだいもありました。

昨年さくねんの5月つきには、新型しんがたコロナウイルス感染かんせん症しょうの感染かんせん症しょう法ほう上じょうの位置付いちづけが5類るいに移行いこうしました。

引き続ひきつづき感染かんせん症しょうの流行りゅうこうを注視ちゅうししていく必要ひつようがある中なかにあって、人々ひとびとの日常にちじょう生活せいかつが元もとに戻もどっていく上うえで、確たしかな明あかるさが見みえる年としとなりました。

科学かがく技術ぎじゅつの分野ぶんやでは、つい先日せんじつの2月つき17日にち、H3ロケットの打ち上うちあげが成功せいこうしました。

また、1月つき20日にちには、小型こがた月つき着陸ちゃくりく実証じっしょう機き「SLIM」が月面げつめんへのピンポイント着陸ちゃくりくに成功せいこうしました。

「はやぶさ」や「はやぶさ2」に続つづき、宇宙うちゅう開発かいはつの分野ぶんやで長年ながねんにわたり積み重つみかさねてきた技術ぎじゅつが花開はなひらいたものであり、関係かんけい者しゃの努力どりょくに敬意けいいを表あらわします。

生成せいせいAIなど、AIの技術ぎじゅつの進展しんてんが注目ちゅうもくされてきていますが、能登のと半島はんとう地震じしんの被災ひさい地ちでは、日本にっぽんの優すぐれた水みず処理しょり技術ぎじゅつとAIを結び付むすびつけた自律じりつ制御せいぎょ型がたのポータブル水すい再生さいせいシステムの活用かつようにより、入浴にゅうよくや手洗てあらいのサービスが提供ていきょうされ、厳きびしい状況じょうきょうにある被災ひさい者しゃの方々かたがたの助たすけとなっています。

こうした取組とりくみは若わかい人ひとたちが中心ちゅうしんとなって設立せつりつした企業きぎょうによる取組とりくみと聞ききました。

全国ぜんこく各地かくちから駆け付かけつけたボランティアの活動かつどうを含ふくめ、若わかい人ひとたちのこうした活力かつりょくが我が国わがくにの新あたらしい可能かのう性せいを切り開きりひらいていくことを期待きたいしたいと思おもいます。

また、例たとえばスポーツの世界せかいでは、昨年さくねん開催かいさいされた野球やきゅうのWBCでの日本にっぽん代表だいひょうチームの3大会たいかいぶり3回かい目めの優勝ゆうしょうや、米国べいこくメジャーリーグで活躍かつやくする大谷おおや翔しょう平ひら選手せんしゅが、史上しじょう初はつとなる2度目どめの満票まんぴょう選出せんしゅつでのMVPに選えらばれたこと、あるいは、将棋しょうぎの世界せかいで、藤井ふじい聡さとし太ふとしさんが「王座おうざ」のタイトルを獲得かくとくし、史上しじょう初はつの八はち冠かんを達成たっせいしたことなど、若わかい世代せだいの人々ひとびとが、日々ひびの努力どりょくの積み重つみかさねにより新あらたな世界せかいを切り開きりひらいていく姿すがたは、私わたしたちに明あかるい夢ゆめと希望きぼうを与あたえてくれました。

（問とい2）

新型しんがたコロナウイルスの位置付いちづけの変更へんこうにより、昨年さくねんは園遊会えんゆうかいが再開さいかいされ、両りょう陛下へいかでの地方ちほう訪問ほうもんも本格ほんかく化かしました。国際こくさい親善しんぜんを目的もくてきとしたインドネシアへの訪問ほうもんには、皇后こうごうさまも同行どうこうされました。行事ぎょうじや訪問ほうもん先さきでのエピソードや印象いんしょうに残のこっていることをお聞きかせください。

皇后こうごうさまは昨年さくねん、還暦かんれきの誕生たんじょう日びにあたり「これからまた新あらたな気持きもちで一いち歩ほを踏み出ふみだし、努力どりょくを重かさねながら、この先さきの人生じんせいを歩あゆんでいくことができれば」と、今後こんごへの思おもいを綴つづられました。ご結婚けっこんから30年ねん、共ともに歩あゆんでこられた皇后こうごうさまへの思おもいとともに、贈おくられたい言葉ことばがあればお教おしえください。

（天皇てんのう陛下へいか）

新型しんがたコロナウイルス感染かんせん症しょうの感染かんせん拡大かくだいの落ち着おちつきを受うけて、コロナ禍かにあって開催かいさいされていなかった園遊会えんゆうかいを、昨年さくねんは春はる、秋あきと開催かいさいすることができ、久ひさしぶりに多おおくの皆みなさんをお迎おむかえできて嬉うれしく思おもいました。

6月つきには全国ぜんこく植樹しょくじゅ祭さいに出席しゅっせきするために岩手いわて県けんを訪おとずれました。

高田たかだ松原まつばら津波つなみ復興ふっこう祈念きねん公園こうえんの国営こくえい追悼ついとう・祈念きねん施設しせつ「海うみを望のぞむ場ば」において、巨大きょだいな津波つなみが押し寄おしよせた広田ひろた湾わんを臨のぞみ、東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさい当時とうじのことを思い出おもいだしながら、犠牲ぎせいとなられた方々かたがたの御ご冥福めいふくをお祈おいのりし、花はなをお供おそなえいたしました。

東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさい津波つなみ伝承でんしょう館かんでは、震災しんさいでの体験たいけんを後世こうせいに伝つたえる活動かつどうなどをされている方々かたがたからのお話おはなしを伺うかがい、震災しんさいの事実じじつと教訓きょうくん、そして人々ひとびとの体験たいけんや復興ふっこうへの思おもいなどを後世こうせいに伝つたえていくことの大切たいせつさを感かんじました。

「奇跡きせきの一本松いっぽんまつ」のモニュメントを初はじめて実際じっさいに見みることができ、全国ぜんこく植樹しょくじゅ祭さいの記念きねん式典しきてんでも「奇跡きせきの一本松いっぽんまつ」の遺伝子いでんしを受け継うけつぐ南部なんぶアカマツの苗木なえぎを植うえることができました。

また、記念きねん式典しきてんでは、「奇跡きせきの一本松いっぽんまつ」を用もちいて製作せいさくされたいわゆる「津波つなみビオラ」などで構成こうせいされる弦楽げんがく四よん重奏じゅうそうを聴きくことができ、以前いぜん私わたし自身じしんが、そのビオラを演奏えんそう会かいで弾ひいたことを思い出おもいだしました。

この地域ちいきがこれまで辿たどってきた困難こんなんを思い起おもいおこしながら、全国ぜんこく植樹しょくじゅ祭さいが開催かいさいされるまでに復興ふっこうが進すすんできたことを、雅子まさこと共とともに心こころから嬉うれしく思おもいました。

今回こんかい訪おとずれた、陸前りくぜん高田たかだ市し、大船渡おおふなと市しや釜石かまいし市しでは、被災ひさい地ちの皆みなさんから直じかにお話おはなしを聞きくことができ、幾多いくたの困難こんなんを抱かかえながら弛ゆるみない努力どりょくを続つづけてこられた姿すがたに心こころを打うたれました。

皆みなさんのお話おはなしを伺うかがいながら、まだ課題かだいが多おおく残のこされているものの、復興ふっこうが着実ちゃくじつに進すすんできていることを感慨深かんがいぶかく思おもいました。

被災ひさい地ちが、新あたらしいコミュニティ作づくりを始はじめ、今後こんご、真しんの復興ふっこうを遂とげていくことを心こころから願ねがうとともに、被災ひさい地ちに引き続ひきつづき心しんを寄よせていきたいという思おもいを新あらたに致いたしました。

9月つきには、全国ぜんこく豊ゆたかな海うみづくり大会たいかいのために北海道ほっかいどうを、そして10月つきには、特別とくべつ国民こくみん体育たいいく大会たいかいのために鹿児島かごしま県けん、国民こくみん文化ぶんか祭さい及および全国ぜんこく障害しょうがい者しゃ芸術げいじゅつ・文化ぶんか祭さいのために石川いしかわ県けんを訪おとずれ、それぞれの地域ちいきの特色とくしょくに触ふれ、この国くにの自然しぜん・風土ふうどや歴史れきし・文化ぶんかの豊ゆたかさを改あらためて感かんじることができました。

今年ことしの歌会かかい始はじめの歌うたでも詠よみましたが、各地かくちを訪おとずれた際さいに皆みなさんと直じかに接せっすることができたことは、大変たいへん嬉うれしいことでした。

それぞれの場所ばしょで色々いろいろな方ほうのお話おはなしを直接ちょくせつ伺うかがい、皆みなさんの笑顔えがおに接せっすることができたことも心こころ和なごむことでした。

地方ちほうを訪おとずれた際さい、それぞれの関係かんけい者しゃの方々かたがたが感染かんせん防止ぼうし対策たいさくに気きを配くばりながら万全ばんぜんの準備じゅんびを進すすめてこられたこと、また、多おおくの道みち県民けんみんの皆みなさんが私わたしと雅子まさこを温あたたかく迎むかえてくださったことに、雅子まさこと共とともに心こころから感謝かんしゃしたいと思おもいます。

6月つきには、日本にっぽん・インドネシア外交がいこう関係かんけい開設かいせつ65周年しゅうねん及および日本にっぽんASEAN友好ゆうこう協力きょうりょく50周年しゅうねんという記念きねんすべき年としに、雅子まさこと共とともにインドネシアを訪問ほうもんできたことを大変たいへん嬉うれしく思おもいます。

二に人にん揃そろっての初はじめての東南アジアとうなんあじあの国くにへの公式こうしき訪問ほうもんということもあり、私わたしたちにとって、とても思い出深おもいでぶかいものとなりました。

訪問ほうもん中ちゅうは、ジョコ大統領だいとうりょう御ご夫妻ふさいやハメンク・ブウォノ10世せいジョグジャカルタ特別とくべつ州しゅう知事ちじ御ご夫妻ふさいを始はじめとして、各地かくちでインドネシア政府せいふや国民こくみんの皆みなさんに温あたたかく迎むかえていただき、心こころのこもったおもてなしを頂いただいたことは大変たいへん有り難ありがたく、心こころから感謝かんしゃしております。

この機会きかいに改あらためて、今回こんかいの訪問ほうもんの実現じつげんに尽力じんりょくされたインドネシアと日本にっぽんの多おおくの関係かんけい者しゃの皆みなさんに感謝かんしゃしたいと思おもいます。

訪問ほうもんを通をつうじて、インドネシアの歴史れきしや、多様たよう性せいに富とんだ豊ゆたかな社会しゃかい・文化ぶんかに対にたいする理解りかいを深ふかめられたほか、両国りょうこくの間まで長年ながねんにわたり培つちかわれてきた友好ゆうこう親善しんぜんと協力きょうりょくの実績じっせきを目の当まのあたりにすることができました。

また、ボゴール宮殿きゅうでん、同どう植物しょくぶつ園えん、ダルマ・プルサダ大学だいがく、ボロブドゥール寺院じいん遺跡いせきなど、かつて上皇じょうこう上じょう皇后こうごう両りょう陛下へいかも御ご訪問ほうもんになったゆかりの場所ばしょを訪問ほうもんしたり、両国りょうこく間かんの交流こうりゅうに様々さまざまな形かたちで貢献こうけんされてきた幅広はばひろい世代せだいの方々かたがたに直接ちょくせつお会あいして、両国りょうこくの友好ゆうこう親善しんぜん関係かんけいが、難むずかしかった時代じだいを経へて、世代せだいを超こえた人々ひとびとの弛ゆるみない努力どりょくと交流こうりゅうを通をつうじて育はぐくまれてきたことに思おもいを新あらたに致いたしました。

日本にっぽんや日本にっぽんの人々ひとびとに温あたたかい気持きもちを寄よせていただいているインドネシアの人々ひとびとが沢山たくさんいることを実感じっかんし、嬉うれしく、有り難ありがたく思おもいました。

中なかでも、日本にっぽんの文化ぶんかや言葉ことばなどを通をつうじて日本にっぽんに関心かんしんを寄よせるインドネシアの若わかい人々ひとびとや、インドネシアで暮くらす日本にっぽんの子こどもたちや若わかい人々ひとびとと交流こうりゅうする中なかで、今後こんごの両国りょうこくの友好ゆうこう親善しんぜんと協力きょうりょく関係かんけいにおいて若わかい世代せだいが果はたす役割やくわりの可能かのう性せいを感かんじました。

両国りょうこくの若わかい世代せだいが、お互おたがいに対にたいする関心かんしんを深ふかめて交流こうりゅうし、両国りょうこくの相互そうご理解りかいと友好ゆうこう協力きょうりょく関係かんけいの一層いっそうの深ふかまりに大おおきな役割やくわりを担になっていってくれることを期待きたいいたします。

今回こんかいの訪問ほうもんが、日本にっぽんとインドネシアの人々ひとびとの相互そうご理解りかいを一層いっそう深ふかめ、両国りょうこくの友好ゆうこう親善しんぜんと協力きょうりょく関係かんけいを更さらに発展はってんさせる契機けいきとなったのであれば、大変たいへん嬉うれしく思おもいます。

雅子まさこは、工夫くふうや努力どりょくを重かさねながら、この1年ねんも、都内とないでの式典しきてんなどの行事ぎょうじのほか、予定よていされていた岩手いわて県けん、北海道ほっかいどう、鹿児島かごしま県けん並ならびに石川いしかわ県けんへの地方ちほうの訪問ほうもんを全すべて終おえることができました。

また、久々ひさびさの海外かいがいへの親善しんぜん訪問ほうもんとして、滞在たいざい期間きかんが国内こくないで地方ちほうを訪問ほうもんする時ときよりも長ながいインドネシア訪問ほうもんを二に人にんで無事ぶじに果はたすことができたことに安堵あんどするとともに、嬉うれしく思おもいました。

この1年ねん、都内とない、宮殿きゅうでんや御所ごしょでの行事ぎょうじも増ふえました。

いまだ快復かいふくの途上とじょうで、体調たいちょうには波なみがあり、大おおきな行事ぎょうじの後のちや行事ぎょうじが続つづいた場合ばあいには、疲つかれが暫しばらく残のこることもあります。

そのような際さいには、十分じゅうぶんに休息きゅうそくを取とってほしいと思おもいますし、これからも、無理むりをせずにできることを一ひとつ一ひとつ着実ちゃくじつに積み重つみかさねていってほしいと思おもいます。

国民こくみんの皆みなさんには、これまで温あたたかく心こころを寄よせていただいていることに、雅子まさこ共々ともども改あらためて感謝かんしゃの気持きもちをお伝おつたえするとともに、引き続ひきつづき雅子まさこの快復かいふくを温あたたかく見守みまもっていただければ有り難ありがたく思おもいます。

雅子まさこと結婚けっこんしてから、二に人にんで一緒いっしょに多おおくのことを経験けいけんし、お互おたがいに助け合たすけあい、喜よろこびや悲かなしみなどを分わかち合あいながら歩あゆんでまいりました。

雅子まさこは、娘むすめの愛子いとしごの成長せいちょうを見守みまもりつつ、私わたしの日々ひびの活動かつどうを支ささえてくれる大切たいせつな存在そんざいであるとともに、公私こうしにわたり良よき相談そうだん相手あいてになってくれています。

本当ほんとうによくやってくれていると思おもい、助たすけられることも多おおいです。

私わたしも、今後こんごともできる限かぎり力ちからになり、支ささえていきたいと思おもっています。

30年ねんを共ともに過すごし、雅子まさこには、私わたしからこれまでの感謝かんしゃの気持きもちを伝つたえたいと思おもうとともに、この先さきの人生じんせいも引き続ひきつづきよろしく、と伝つたえたいと思おもいます。

（問とい3）

今年ことし、愛子あいこさまは大学だいがく卒業そつぎょう後ご、日本にっぽん赤十字せきじゅうじ社しゃに嘱託しょくたく職員しょくいんとしてお勤つとめになり、秋篠宮あきしののみや家かの悠ゆう仁ひとしさまは成年せいねんを迎むかえられます。

愛子あいこさまの最近さいきんのご様子ようすや大学だいがく生活せいかつでの思い出深おもいでぶかい出来事できごととともに、日赤にっせきへの就職しゅうしょくにあたってご家族かぞくで話し合はなしあわれたこと、お一方いっぽうでの公的こうてきな活動かつどうの見通みとおしや、ご結婚けっこんへの考かんがえをお聞きかせください。

皇位こうい継承けいしょう順位じゅんい2位いの悠ゆう仁ひとしさまの成長せいちょうについてどのようにご覧ごらんになっていらっしゃいますか。今後こんご期待きたいされていることをお聞きかせください。

（天皇てんのう陛下へいか）

愛子いとしごには、新型しんがたコロナウイルス感染かんせん症しょうの感染かんせん状況じょうきょうが落ち着おちつき、今年度こんねんどからは大学だいがくのキャンパスに足あしを運はこべるようになりました。

大学だいがくでの勉学べんがくに熱心ねっしんに取り組とりくみ、先生せんせい方かたやお友達ともだちと一緒いっしょに、楽たのしく充実じゅうじつした学生がくせい生活せいかつを送おくっているように思おもいます。

卒業そつぎょう論文ろんぶんの執筆しっぴつに当にあたっては、指導しどうの先生せんせい方かたの御ご助言じょげんを頂いただきながら、論文ろんぶんを読よんだり、放課ほうか後ごなどに大学だいがくの図書館としょかんや日本語にほんご日本にっぽん文学ぶんがく科かの書庫しょこなどで資料しりょうを集あつめたりしながら、一生懸命いっしょうけんめい、論文ろんぶんを執筆しっぴつしていました。

卒業そつぎょうが間近まぢかに迫せまっていますが、残のこりの大学だいがく生活せいかつを有意義ゆういぎに送おくってもらえればと思おもっています。

これまで温あたたかく御ご指導しどういただいている先生せんせい方かたや職員しょくいんの皆みなさん、そして、親したしくしていただいているお友達ともだちに心こころから感謝かんしゃしております。

大学だいがく生活せいかつでは、日本語にほんご日本にっぽん文学ぶんがく科かの専門せんもん科目かもくの授業じゅぎょうはもとより、教養きょうよう科目かもくや他たの学科がっかの授業じゅぎょう、例たとえば、日本にっぽん史し、東洋とうよう史し、日本にっぽんの伝統でんとう芸能げいのうや福祉ふくしなどの講義こうぎを聴きき、視野しやを広ひろげることができたことや、殊ことに今年度こんねんどからは、大学だいがくのキャンパス内ないで先生せんせい方かたやお友達ともだちと直じかにお話おはなししたり、一緒いっしょに運動うんどうができたりしたことなどが、かけがえのない経験けいけんとして印象いんしょうに残のこっているようです。

また、キャンパス内ないの様々さまざまな場所ばしょを探索たんさくできたことも楽たのしかったようです。

日本にっぽん赤十字せきじゅうじ社しゃへの就職しゅうしょくに関にかんしては、愛子あいこは、成年せいねんの記者きしゃ会見かいけんの時ときにも、「自分じぶんの住すんでいる街まちであるとかないとか関係かんけいなく、人ひとの役に立やくにたとうと懸命けんめいに活動かつどうしている災害さいがいボランティアの姿すがたに非常ひじょうに感銘かんめいを受うけました」と申もうしましたように、人ひとのために何なにかできればという思おもいを以前いぜんから持もっていたように思おもいます。

そのような中なかで、愛子あいこは、昨年さくねんには私わたしや雅子まさこと共とともに、日本にっぽん赤十字せきじゅうじ社しゃから日赤にっせきの行おこなっている様々さまざまな活動かつどうについてのお話おはなしを伺うかがったり、日赤にっせき本社ほんしゃで開催かいさいされた関東かんとう大震災だいしんさい時じにおける日赤にっせきの救護きゅうごや医療いりょう活動かつどうなどの展示てんじを見みに伺うかがう機会きかいがありました。

このようなことを通をつうじて、日赤にっせきの活動かつどうに携たずさわることで、少すこしでも社会しゃかいに貢献こうけんしたいという気持きもちを強つよく持もつようになったと思おもわれ、私わたしたち家族かぞくともよく話し合はなしあい、日赤にっせきで勤つとめることを希望きぼういたしましたところ、日赤にっせき側がわにも快諾かいだくしていただいたことはとても有り難ありがたいことでした。

愛子いとしごには、この4月つきから、日赤にっせきの一員いちいんとして多おおくの人ひとのお役やくに立たてるよう努力どりょくを続つづけてほしいと思おもいますし、社会しゃかいに出でると大変たいへんなこともあるかもしれませんが、それを乗り越のりこえて、社会しゃかい人じんの一いち人にんとして成長せいちょうしていってくれることを願ねがっています。

愛子いとしごには、これからも、色々いろいろな方ほうから沢山たくさんのことを学まなび、様々さまざまな経験けいけんを積み重つみかさねながら視野しやを広ひろげ、自みずからの考かんがえを深ふかめていってほしいと願ねがっています。

また、同時どうじに皇族こうぞくとしての仕事しごとも増ふえてくると思おもいますが、今後こんごも、思おもいやりと感謝かんしゃの気持きもちを持もちながら、皇室こうしつの一員いちいんとして一ひとつ一ひとつの務つとめを大切たいせつに果はたしていってもらいたいと思おもいます。

その過程かていで、私わたしたちで相談そうだんに乗のれることは、できる限かぎりしていきたいと思おもいます。

皆様みなさまには、これまでも愛子いとしごに温あたたかいお気持きもちを寄よせていただいていることに、心こころから感謝かんしゃしております。

今後こんごとも愛子いとしごを温あたたかく見守みまもっていただければ幸さいわいに思おもいます。

悠ゆう仁じん親王しんのうは今年ことし18歳さいとなり、成年せいねんを迎むかえます。

小ちいさい時ときから甥おいとして成長せいちょうを見守みまもってまいりましたが、近頃ちかごろは、地方ちほうや都内とないへの訪問ほうもんであったり、外国がいこくの方々かたがたとの交流こうりゅうであったり、少すこしずつ、皇室こうしつの一員いちいんとしての務つとめを果はたしてくれていることを頼たのもしく思おもっています。

会あった時ときなどには、トンボの話はなしや野菜やさいの栽培さいばい、また、クラブ活動かつどうとして行いっているバドミントンの話はなしなど、生き生いきいきと話はなしてくれますので、充実じゅうじつした日々ひびを送おくっているのではないかと思おもいます。

これから、大学だいがくへの進路しんろについても考かんがえを深ふかめていくことになると思おもいます。

本人ほんにんが関心かんしんを持もち、学まなびたいこと、やりたいこともあると思おもいますので、自身じしんの将来しょうらいをしっかりと見みつめながら実みのり多おおい高校こうこう生活せいかつを送おくってほしいと願ねがっております。

（問とい4）

陛下へいかは5月つきに即位そくい5年ねんを迎むかえられます。

新型しんがたコロナで制約せいやくの多おおい期間きかんが続つづきましたが、可能かのうな限かぎり各地かくちに足あしを運はこび、オンラインでの訪問ほうもんも取り入とりいれ、多おおくの人々ひとびとと交流こうりゅうされてきました。

海外かいがいの賓客ひんきゃくとは円えんテーブルを囲かこんで会見かいけんし、午餐ごさんで和食わしょくの提供ていきょうや日本にっぽん酒しゅで乾杯かんぱいをされるなど、新あらたな取り組とりくみも始はじめられました。

天皇てんのうとしての歩あゆみを振り返ふりかえるとともに、今後こんごの活動かつどうについて皇后こうごうさまと話し合はなしあわれていることをお聞きかせください。

また、お忙おいそがしい中ちゅう、水みずを巡めぐる問題もんだいや交通こうつう史しの研究けんきゅう、ビオラの演奏えんそう、登山とざんといった私的してきなご活動かつどうの状況じょうきょうはいかがでしょうか。

（天皇てんのう陛下へいか）

新型しんがたコロナウイルス感染かんせん症しょうの影響えいきょうにより、地方ちほうへの訪問ほうもんを3年ねん近ちかくできなくなるなど、国民こくみんの皆みなさんと直接ちょくせつ触れ合ふれあうことが難むずかしくなったことを私わたしも雅子まさこも残念ざんねんに思おもっていましたが、このような状況じょうきょうの中なかで、人々ひとびととのつながりを築きずき、国民こくみんの皆みなさんの力ちからになるために、私わたしたちに何なにができるかを考かんがえ、宮内庁くないちょうとも相談そうだんし、オンラインでの交流こうりゅうの可能かのう性せいを検討けんとうしました。

オンライン訪問ほうもんには、感染かんせん症しょう対策たいさくとしての利点りてん以外いがいにも、複数ふくすうの場所ばしょにいる人々ひとびとに同時どうじに会あうことや、離島りとうや中ちゅう山間さんかん地域ちいきなど、通常つうじょうでは訪問ほうもんが難むずかしい場所ばしょでも訪問ほうもんができるという利点りてんもあるように思おもいました。

オンラインには、オンラインなりの課題かだいもあるでしょうが、引き続ひきつづき、状況じょうきょうに応おうじた形かたちで活用かつようしていきたいと思おもいます。

新型しんがたコロナウイルス感染かんせん症しょうの感染かんせん拡大かくだいの落ち着おちつきを受うけて、都内とないにおいても様々さまざまな行事ぎょうじが再開さいかいされ、そして、地方ちほうへの訪問ほうもんも行おこなうことができるようになり、皆みなさんと直じかに会あって人ひとと人ひととの絆きずなを深ふかめることができるようになったことを、雅子まさこと共とともに、とても嬉うれしく思おもっています。

これまで、私わたしと雅子まさこは、様々さまざまな行事ぎょうじの機会きかいに、あるいは災害さいがいの被災ひさい地ちのお見舞みまいや復興ふっこう状況じょうきょうの視察しさつのために、各地かくちを訪問ほうもんしてまいりました。

その際さいには、国民こくみんの皆みなさんの中なかに入はいり、少すこしでも寄り添よりそうことを目指めざして、行いく先々さきざきで多おおくの方々かたがたのお話おはなしを聴きき、皆みなさんの置おかれている状況じょうきょうや気持きもち、皇室こうしつが国民こくみんのために何なにをすべきかなどについて的確てきかくに感じ取かんじとれるように、国民こくみんの皆みなさんと接せっする機会きかいを広ひろく持もつよう心掛こころがけてまいりました。

これからも雅子まさこと相談そうだんしつつ、このことを心掛こころがけながら各地かくちを訪問ほうもんしてまいりたいと思おもいます。

外国がいこくからの賓客ひんきゃくに関にかんする質問しつもんにつきましては、賓客ひんきゃくお一いち人にんお一いち人にんの訪問ほうもんがより良よいものとなるよう、宮中きゅうちゅうにおける伝統でんとうや慣行かんこうを踏ふまえつつ、雅子まさこや職員しょくいんとも相談そうだんして、その時々ときどきにふさわしい形かたちでお迎むかえできればと考かんがえています。

はるばるお越おこしいただいた外国がいこく賓客ひんきゃくの皆みなさんとより親したしく交流こうりゅうし、賓客ひんきゃくの皆みなさんには、日本にっぽんの文化ぶんかや伝統でんとうを知しっていただくとともに、日本にっぽんの人々ひとびとに近ちかしい気持きもちを抱だいていただけるような機会きかいになればと思おもっております。

私的してきな活動かつどうについての御ご質問しつもんですが、まず、ビオラの演奏えんそうについては、最近さいきんはなかなか練習れんしゅうの時間じかんが取とりにくくなってはいますが、少すこしずつ続つづけており、ビオラに限かぎらず、音楽おんがくからは多おおくの癒やしと力ちからをもらっているように思おもいます。

音楽おんがくについていえば、今月こんげつ6日にちに小澤おざわ征爾せいじさんが亡なくなられたことをとても残念ざんねんに思おもいます。

子こどもの頃ころから、小澤おざわさんが指揮しきをされた、新しん日本にっぽんフィルハーモニー交響こうきょう楽団がくだん、ボストン交響こうきょう楽団がくだん、ウィーン国立こくりつ歌劇かげき場じょうの公演こうえんなどに伺うかがい、また、お話おはなしをしたことを懐なつかしく思い出おもいだします。

登山とざんについては、山小屋やまごやに泊とまっての登山とざんというのはなかなか難むずかしいかもしれませんが、今後こんごとも、時間じかんが許ゆるせば近ちかくの山やまに登のぼるなどして、日本にっぽんの自然しぜんの美うつくしさに触ふれられればと思おもっています。

日頃ひごろは、皇居こうきょ内ないで四季しきの移うつろいや野鳥やちょうのさえずりを聴ききながらジョギングをしたり、雅子まさこと一緒いっしょに散策さんさくをしたりするなど、健康けんこうのための運動うんどうは続つづけています。

また、昨年さくねんは4年ねんぶりに栃木とちぎ県けんの御料ごりょう牧場ぼくじょうや那須なす御用邸ごようていで静養せいようする機会きかいにも恵めぐまれました。

豊ゆたかな自然しぜんの中なかで、ゆっくりと心こころ安やすらぐ日々ひびを過すごすことができ嬉うれしく思おもいました。

「水みず」問題もんだいについては、「水みず」を切り口きりくちに、安全あんぜんな飲のみ水すいや、水上みずかみ交通こうつう、自然しぜん災害さいがいや治水ちすい対策たいさくといった国民こくみん生活せいかつの安定あんていと発展はってんに関かかわる問題もんだいや、気候きこう変動へんどうといった地球ちきゅう規模きぼでの課題かだいなど、水みずは多おおくの側面そくめんに関かかわってきます。

昨年さくねんは46年ねんぶりに国連こくれんで水みず会議かいぎが開ひらかれるなど、各国かっこくの「水みず」問題もんだいに対にたいする取組とりくみも進すすめられていると聞きいています。

私わたし自身じしん、昨年さくねんは、「第だい6回かい国連こくれん水すいと災害さいがいに関にかんする特別とくべつ会合かいごう」でビデオでの基調きちょう講演こうえんを行おこないました。

講演こうえんの中なかでは、江戸えどの町まちを例れいに取とって、上水道じょうすいどうシステムを構築こうちくしたことや、舟運しゅううんネットワークを上手じょうずに利用りようしたこと、他方たほうで水害すいがいから町まちを守まもる治水ちすい対策たいさくを進すすめたことなどによって、江戸えどが当時とうじとしては世界せかい最大さいだい級きゅうの都市としに発展はってんしたことを紹介しょうかいしました。

水みずの恩恵おんけいを享受きょうじゅしつつ、他方たほうで災害さいがいに対応たいおうすることは、歴史れきしを通つうじた人類じんるい共通きょうつうの歩あゆみでもあり、水みずを巡めぐる問題もんだいを知しることは、海外かいがいの社会しゃかいや文化ぶんかを理解りかいすることにもつながります。

例たとえば、昨年さくねんインドネシアを訪問ほうもんした際さいに見みる機会きかいがありました、5世紀せいきに造つくられた「トゥグ碑文ひぶん」には、当時とうじの治水ちすい事業じぎょうが記しるされていました。

わざわざ石いしに彫ほって記録きろくを残のこすくらいですから、当時とうじのインドネシアでも治水ちすい事業じぎょうが大おおきな意味いみを持もっていたことが分わかります。

これまでもこうした活動かつどうを行おこなう中なかで「水みず」問題もんだいに対にたいする理解りかいを深ふかめようと努つとめてきましたが、引き続ひきつづき関心かんしんをもって、事情じじょうの許ゆるす範囲はんいで今後こんごとも「水みず」問題もんだいについての取組とりくみも続つづけていくことができればと思おもっています。

（問とい5）

皇室こうしつの課題かだいに関にかんしてお尋おたずねいたします。

安定あんてい的てきな皇位こうい継承けいしょうのあり方ありかたを議論ぎろんする政府せいふの有識者ゆうしきしゃ会議かいぎの報告ほうこく書しょが国会こっかいに提出ていしゅつされてから、2年ねんが経過けいかしました。

皇族こうぞくの減少げんしょうと高齢こうれい化かに対にたいする陛下へいかの受け止うけとめと、皇室こうしつの活動かつどうの将来しょうらい像ぞうをどのようにお考かんがえになっているかをお聞きかせください。

宮内庁くないちょうの広報こうほう室しつが設置せっちされて間まもなく1年ねんとなりますが、海外かいがい王室おうしつのようにSNSでの積極せっきょく的てきな情報じょうほう発信はっしんは行おこなわれていません。

皇室こうしつへのバッシングと受け取うけとれる一部いちぶの報道ほうどうやインターネット上じょうの書き込かきこみが続つづいていますが、情報じょうほう発信はっしんのあり方ありかたや誤あやまった情報じょうほうへの対策たいさくについても併あわせてお聞きかせください。

（天皇てんのう陛下へいか）

現在げんざい、男性だんせい皇族こうぞくの数かずが減へり、高齢こうれい化かが進すすんでいること、女性じょせい皇族こうぞくは結婚けっこんにより皇すめらぎ籍せきを離脱りだつすること、といった事情じじょうにより、公的こうてき活動かつどうを担になうことができる皇族こうぞくは以前いぜんに比くらべ、減少げんしょうしてきております。

そして、そのことは皇室こうしつの将来しょうらいとも関係かんけいする問題もんだいですが、制度せいどに関かかわる事柄ことがらについては、私わたしから言及げんきゅうすることは控ひかえたいと思おもいます。

昨年さくねんもお話おはなししたとおり、皇室こうしつの活動かつどうについての情報じょうほう発信はっしんを考かんがえるのに当にあたって、その前提ぜんていとして、皇室こうしつの在り方ありかたや活動かつどうの基本きほんに立ち返たちかえって考かんがえる必要ひつようがあると思おもいます。

皇室こうしつの在り方ありかたや活動かつどうの基本きほんは、繰り返くりかえしになりますが、国民こくみんの幸しあわせを常つねに願ねがって、国民こくみんと苦楽くらくを共ともにすることだと思おもいます。

そして、時代じだいの移り変うつりかわりや社会しゃかいの変化へんかに応おうじて、状況じょうきょうに対応たいおうした務つとめを果はたしていくことは大切たいせつであると思おもいます。

皇室こうしつを構成こうせいする一いち人にん一いち人にんが、このような役割やくわりと真摯しんしに向き合むきあい、国民こくみんの幸しあわせを願ねがいながら一ひとつ一ひとつの務つとめを果はたし、国民こくみんと心こころの交流こうりゅうを重かさねていく中なかで、国民こくみんと皇室こうしつとの信頼しんらい関係かんけいが築きずかれていくものと考かんがえております。

国民こくみんと心こころの交流こうりゅうを重かさね、国民こくみんと皇室こうしつの信頼しんらい関係かんけいを築きずくに当にあたっては、皇室こうしつに関にかんする情報じょうほうを、国民こくみんの皆みなさんに、適切てきせつなタイミングで、分わかりやすく発信はっしんしていくことは大事だいじなことであると考かんがえています。

具体ぐたい的てきな情報じょうほう発信はっしんの行おこない方かたについては、現在げんざい、宮内庁くないちょうで検討けんとうが進すすめられていると承知しょうちしております。

（関連かんれん質問しつもん）

（問とい1）

お誕生たんじょう日び、おめでとうございます。

先さきほどの、愛子あいこ様さまに関にかんするところの関連かんれんでお伺うかがいしたいのですが、陛下へいかがずっと成長せいちょうを見守みまもってこられる中なかで、愛子あいこ様さまが福祉ふくしですとか日赤にっせきに関心かんしんを寄よせられるきっかけとして思い当おもいあたるものが何なにかおありかどうか、また日赤にっせきに就職しゅうしょくをしたいというお話おはなしをお聞ききになったときに、陛下へいかは率直そっちょくにどのように思おもわれたか、お聞きかせいただけますでしょうか。